M&Aを活用した事業承継の事例紹介-1
M&Aを活用した事業承継の事例紹介-1
少子高齢化の進む日本において、中小事業の事業承継が近年の課題として認知されており、その中でもM&Aは事業承継の手法の1つとして多く利用されています。
中小企業庁が公表する「2022年版中小企業白書」によれば、中小企業の経営者年齢の分布は年々高まってきており、その後継者不在率は過去10年間60%以上を維持しているとのことですが、中小企業を対象としたM&Aの件数は年々高まりを見せています。
こうした背景を踏まえて、本コラムでは「事業承継」をテーマにした中小企業を対象とするM&A案件について、公表された情報に基づいてその概要をご案内いたします。
今後、M&Aを活用した事業承継を検討しておられる企業のオーナー様や経営者様にとって、事業承継の担い手となりえる企業やその業種、M&Aのスキームや取引の流れといったご参考いただける情報を発信していければと考えております。
今回は事業会社(上場企業)が事業承継の担い手となってM&Aを実行した案件(2022年11月29日公表)をご紹介いたします。
●取引の概要
株式譲渡契約締結日 :2022年11月29日
株式譲渡実行日 :2022年12月12日
買い手 :株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(東証プライム)
買い手側アドバイザー:不明
売り手 :林剛一郎(対象会社代表取締役)
売り手側アドバイザー:不明
対象会社 :株式会社林久右衛門商店(非上場)
取引形態 :株式譲渡(8,700株)
取引金額 :663百万円
アドバイザー費用 :51百万円(内訳不明)
●取引の概観
●取引の背景等
ヨシムラ・フード・ホールディングスは、優れた商品や技術力を持ちながらも、少子高齢化による市場の縮小や後継者不足等により廃業を余儀なくされる中小企業をグループ化し、当該企業の本来の強みを活かす「中小企業支援プラットフォーム」により、企業・グループ全体の成長を活性化させることに強みを有する。
他方で林久右衛門商店は、創業以来百三十余年かけて作り上げてきた、高付加価値商品を製造する商品開発力とノウハウ、それにより確立された確かなブランド力、それらがもたらす確固たる事業基盤を有する。
両者は、ヨシムラ・フード・ホールディングスのグループ会社とのシナジー創出や、海外販路ネットワークを活用した拡販による業績の拡大が期待できること等を背景として、今回の合意に至った。
出典:ヨシムラ・フード・ホールディングスIR資料
東京事務所/公認会計士 青木信暁