M&Aを活用した事業承継の事例紹介-8
●本コラムについて
M&Aを活用した事業承継事例をご紹介している本コラムですが、今回は株式会社バローホールディングス(以下、「バローHD」)及びバローHDの子会社である中部興産株式会社(以下、「中部興産」)による株式会社鷺富運送(以下、「鷺富運送」)の子会社化(2024年4月2日公表)についてご紹介いたします。
●取引の概要
株式譲渡契約締結日 :2024年3月19日
株式譲渡実行日 :2024年4月2日
買手 :中部興産
買手側アドバイザー :不明
売手 :不明(守秘義務契約を締結していることから非公表、とのこと。)
売手側アドバイザー :不明
対象会社 :鷺富運送
取引形態 :株式譲渡
取引金額 :非開示
アドバイザー報酬 :非開示
●取引の概観
●取引の背景など
バローHDは岐阜県に本社を置く東証プライム上場企業で、スーパーマーケット事業やドラッグストア事業並びにホームセンター事業を中心に展開する事業会社です。2023年9月末時点のグループ全体の店舗数は、全国1,327店舗と公表されています。なかでも中心は本社を構える東海地方(760店舗)と隣接する北陸地方(156店舗)や近畿地方(109店舗)で、全体の約77%を占めています。
バローHDは、その経営戦略の中でビジネスモデルの進化を掲げ、「DXを通じて、顧客との接点強化と「製造小売業」への進化を果たす」ことを目指しているとのことです。そのなかで、「商品力の向上」は重点施策の1つに挙げられており、「サプライチェーンの情報連携」も重要な要素となっているようです。
バローHDの子会社である中部興産は24の物流センターを運営し、倉庫運営と自社配送を行っているとのことですが、石川県・福井県・富山県を中心に多様な物流サービスを提供する鷺富運送は、バローHDグループの物流機能の強化を期待しているものと考えられます。
バローHDの公表資料によれば、本件で期待されるシナジー効果は下記のようです。
1.倉庫運営ノウハウの共有
・今後複雑、高度化するシステム投資等の圧縮
・マテハンの共有化
・人材交流と育成
2.川上への物流領域の拡大とサプライチェーンの高度化
・両社のネットワークを活用した新規集荷、配荷業務の受託拡大
・両社の近隣集荷先、配荷先の整理による配送効率の向上
・両社の事業所、倉庫の共同利用
●出所:バローHD IR資料
当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ(2024年4月2日)
第67期 上半期事業報告書(2023年2月5日)
中期3ヵ年経営計画(HP掲載)
東京事務所/公認会計士 青木信暁